野締めの魚に津本式血抜きを行う。これって意味があるのかな?
今回は、自作道具を使って津本式血抜きのテストを行います。市場で購入した野締めのカンパチ2尾を使って、血抜きする個体と血抜きしない個体を比較します。野締めとはいっても、刺身鮮度のカンパチであることはご留意ください。
(刺身で食べられない様な魚に対しては、さすがに意味がないと思います。)
この記事で使用している自作道具については、こちらを参照してください。
それでは、今回はカンパチでテストを行っていきます!
結論
- 3日保管後のカンパチの身は、「血抜きした」個体の方が良い状態を保った。「血抜きせず」の方には、身に若干の変色(劣化)が認められた。
- 血抜きの有り無しで、味の違いは無かった。(但し、変色があったことを考えると、もっと長期間のテストとすれば、違いがでる可能性はある)
- 以上より、野締めのカンパチに津本式血抜きを行う理由として、「保存期間を延ばす効果が期待できる」ことが考えられる。
保管中に魚の状態を少しでも良くキープしたいから、津本式を行うという考え方は出来そうだね。
テスト内容
- 野締めのカンパチを市場で2尾購入
- 自作道具を使って1尾には津本式血抜きを行う。もう1尾には行わない。この2尾を比較する。
- 両方とも内臓をキレイに取り除き、冷蔵庫で3日間保管する。
- 保管3日後の状態と味を比較する。
本日の個体
魚種:カンパチ(天然)
産地:神奈川
体長:27cm(全長34cm)
重さ:540g(1尾)
上の個体に、津本式血抜きを行います。
津本式究極の血抜き(カンパチ)
それでは、1尾に対して血抜き処置を行います。
①動脈カット
②尾の骨の切断
③ノズル血抜き
④ノズルで血が抜けた確認
⑤圧迫血抜き(究極の血抜き)
⑥血抜き目視確認(血が凝固している)
⑦体の張りを確認(パンパンの状態)
⑧エラの状態を確認(血が抜け白くなっている)
2尾共に内臓を取り出し、血合いもキレイに掃除しました。取り出したエラと内臓を比較してみましょう。
上が「血抜きした」個体のエラと内臓です。エラは血が抜けて白くなりました。また、内臓も血の残りが少ないことが分かります。
「血抜きせず」と「血抜きした」2尾を立て掛けて、30分間の水抜きを行いました。
カンパチの冷蔵庫保管
それでは、カンパチ2尾を冷蔵庫保管します。極力、魚にドリップが戻らず、身に空気に触れない状態とします。
①腹にはキッチンペーパーを詰める
②吸水シートで包む
③新聞紙で包む
④ポリ袋に入れ、ストローで空気を抜き、口を結ぶ。
④ではストローで空気を吸い出しています。空気に触れる(身が酸化する)ことを防ぐ為です。
尚、吸水シートはこちらを使用しています。
シートの表裏で水分が一方通行になるので、ドリップが魚に戻ることがありません。脱水シートでは無いので、強制的に水を抜く事はなく、適度に保湿してくれます。愛用品です。
冷蔵に2尾を保管するのですが、出来るだけ身に負担を掛けない様します。発泡スチロールの板にクシャクシャにした新聞紙を敷き、その上に密封した魚を乗せます。
冷蔵庫へ。。。おやすみなさい。。。
ZZZ・・・(1日目)
ZZZ・・・(2日目)ペーパー類の交換実施
ZZZ・・・(3日目)
カンパチ(血抜きありなし)の状態比較
途中2日目にペーパー類の全交換を行い、計3日間の熟成が完了しました。カンパチはどの様な状態になっているのでしょうか?開封します。
外観の違いは、ありません。魚の匂いはしますが、腐敗臭はありません。
下身を外しました。如何でしょうか。
写真を拡大します。「血抜きした」個体に比べ、「血抜きせず」は、背骨の枝に残る血が若干多く見えます。
背骨下の動脈の血の残りは顕著です。「血抜きせず」の方が、明らかに多く残っています。
それでは、身はどうでしょうか?
「血抜きせず」では、血の残りの多かった血合い骨付近が、少し変色していることが分かります。現時点では程度は大きくありませんが、劣化が進んだものと思われます。また、腹骨の血の残りも多いという結果となりました。
次に刺身用の柵(サク)の状態にして、皮を剥ぎました。「血抜きした」方が若干、身が明るく見える気がしますが、有意差はありませんでした。
カンパチ(血抜きありなし)の味の比較
「血抜きせず」「血抜きした」の両方とも、背側の身を、刺身にしました。味に違いはあるのでしょうか?
いただきます。
味の違いはありません。
奥さん、息子2人にコンセプトは伝えず、何か違いがあるか?尋ねましたが、口をそろえて「違いが分からない」と答えました。
私は、やったことを知っているので、「血抜きした」刺身の方が若干アッサリに感じましたが、気のせいかも知れないと思わせる程度でした。結論として、今回のテストにおいて、味の違いはありませんでした。
残った腹身で、塩焼きを作り味の比較を行いましたが、これだと尚更、違いが分かりませんでした。
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まとめ
今回は、市場で購入した野締めのカンパチ2尾に、自作道具で津本式血抜きの有り無しの比較検証を行いました。
「血抜きした」個体は、比較的良い身の状態をキープしました。また、味の違いは感じられませんでした。 このことから、魚の劣化を少しでも抑えたい場合に、野締めの魚であっても津本式を行うことに意味はあると感じました。(注:野締めであっても、元々が刺身鮮度であったことは一つの条件。)
▼津本さん本人仕立て実食▼
自作の津本式。これまでの次の様なテスト記事を書いています。参考にどうぞ。
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