かつては「大衆魚」の代名詞だった魚が、現在は「資源問題」の代名詞となってしまいました。皆さんはニシン(鰊・鯡)という魚にどういうイメージをお持ちでしょうか。
スーパーマーケットに行けば、干物にお目に掛かれます。それからなんと言っても、お正月の「数の子」。これがニシンの卵であることはご存じだと思います。そう考えると、一般に馴染みのある魚といえそうです。しかし、この干物や数の子、そのほとんどが輸入品だとご存じでしたか?
「大衆魚」だったニシンは、明治30年頃をピークに、その漁獲量が激減しているのです。関連記事:【知らなかった】全盛期の1%未満/国産ニシン漁獲量/消費者が出来ることは?
国産のニシンを頂くには、鮮魚に注目してください。今日は、岩手産のニシンをお目に掛かれました。お腹の張った、良いニシン。
岩手と言えば、稚魚の放流でニシンの生産量を伸ばしている、と何かの書物で読んだことがあります。資源回復を目指しているのですね。本日頂くニシンは、そんな背景を持ったニシンなのでしょうか。
今回はニシン!真剣に向き合います!
基本情報
標準和名:ニシン
科:ニシン科
生息域:茨城県以北の太平洋と日本海。
旬:3~5月
マメ知識
- 別名を「春告魚(はるつげうお)」。北海道では春になると産卵の為にニシンが沿岸に集まってきた。ニシンの群れに春の訪れを感じた。
- アイヌ語では「カド」と呼ばれ、その卵は「カドの子」。それが訛って「カズノコ(数の子)」になったと言われている。
- 2つの漢字が当てられ、「鰊」と「鯡」は、どちらもニシン。「鰊」は東の魚を意味する。「鯡」は、魚に非ずの意味。江戸時代に北海道の松前藩は年貢を米の代わりにニシンで納めた。
- 子持ち昆布という珍味があるが、これはニシンが数の子を昆布に産み付けたもの。
- 京都の名物料理に「にしん蕎麦」があるが、その昔、北海道から大阪に向かう船が若狭湾に立ち寄って、昆布、干ダラ、身欠きニシンを京都に届けたことに由来する。京都は漁港からの交通が不便だったため、保存食を使った料理が発達した。
- ニシンは日本での漁獲量は全盛期の1%未満となってしまい、近海モノは幻の魚とも呼ばれている。是非読んで欲しい関連記事:【知らなかった】全盛期の1%未満/国産ニシンの漁獲量/消費者にできることは?
本日の個体
産地:岩手
体長:27cm
重さ:971g
価格:600円(1kgあたり620円)
お腹に張りがあります。新鮮なニシンと言えそうです。卵か白子が入っていそう。お腹のウロコは固め(比較的剥がれにくい)です。
調理
ニシンの定番と言えば、「塩焼き」。定番料理で頂きましょう。
ニシンを捌く
ウロコを包丁でこそいだら、頭を落として、腹を割りました。手前のワタが白子(精巣)です。3尾とも、白子を持っていました。白子は、天ぷらと干物で頂きます。
頭を落として、全体を良く洗い、水気をシッカリ切りました。
骨の血合いもキレイに除きました。
立派な白子です。重さ166g。全体が971gでしたので、体の17%が白子ということになります。大きいですね。
ニシンの塩焼き
全体にしっかりと塩をします。腹の中も塩をし、30分くらいおきます。30分は長いと思われるかもしれませんが、ニシンはしょっぱい位が美味しいです。
30分置いたら、塩は洗い流し、水気をよく拭き取ります。身に浸透してるので、しっかり塩味はします。
息子たちが未だ小さいので、2枚に下ろします。ニシンは骨が柔らかいので、写真の様に「大名おろし」で簡単に下せます。
二枚に下しました。
グリルで両面を焼いたら完成です。
これは文句なし。イワシの塩焼きとはまた違うモノですよ。ニシンは身に水分量が多いので、フワフワしてる感覚があります。このフワフワした身と塩味が良く合いますね。美味しい。
次に、吸水シートで巻いて、あえて冷蔵庫で1日寝かせ、同じ様に焼いたモノがこちら。干物にした時と同じような効果があり、身離れが良くなりました。こちらの方がより美味しい!
ニシンは小骨が多いのが、少し厄介なのですが、少し干すことで、身離れが良くなり食べやすくなりました。また、塩がより馴染んで、美味しく感じます。
▼使用した吸水シート▼
これに巻いてラップをせずに冷蔵庫に入れておけば、魚の身が軽く乾燥されます。軽めの干物というところです。
ちなみに干物は冷蔵庫でも作れます。干し網が無くても大丈夫なんです。冷蔵庫での乾燥や「ピチット」シートを使った脱水による干物の作り方を紹介しています。
▶【アジの干物比較】ピチットシートと冷蔵庫乾燥/美味しいのは?
ニシンの白子の天ぷら
水気を拭いたら、塩をします。10分くらい置いて、水分が出たら拭き取ってください。
食べる分量を切って、打ち粉として、小麦粉をまぶします。
衣をつけて、揚げたら、白子の天ぷらの出来上がり。(ついでに、ナスやゴボウなどの野菜も揚げました)
白子を割ってみます。クリーミーな感じ、分かりますか。
出来立て熱々を頂いてください。クリーミーで美味しい。味の濃さも丁度良く、クセも無いので、食べやすい。旨味もしっかりしています。白子好きには、たまらんでしょ。
ニシンの白子の干物
新鮮な白子は干物に出来ると以前何かで読んだことがありました。十分に新鮮と判断しましたので、干物に挑戦してみます。8%の食塩水に、白子を1時間浸けました。
一旦真水で洗い、キレイに水気を拭き取ったら、網に並べます。このままラップなどせずに、冷蔵庫へ。
まる1日、冷蔵に置いたものがコチラです。水分が飛んで、表面が茶色み掛かっています。触るとカサカサで、表面に水分はありません。弾力は残っていますので、まだ中心は乾いてない状態。
フライパン用ホイルの上で、両面をしっかり焼いていきます。
一口大に切って、お皿に盛って、完成です。
これはもうチーズですよ。1時間くらい塩水に浸けましたが、このくらいで正解でした。クリーミーさと塩加減が相まって、チーズを食べている様な感覚。乾いた所で良く焼けている個所が、カリッとして美味しい。5歳の次男が、ほとんど食べてしまいました。
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まとめ
今回は、鮮魚のニシンを頂きました。先ずは塩焼きで頂きましたが、これが「定番」と言われる理由を再確認。ニシンの味には塩気がピッタリです。我が家では子供に食べさせたいので、内臓は取り除きましたが、苦みが好きな方は、丸のまま焼いてもらっても大丈夫(しっかり焼いて下さい)。この時期のニシンには数の子か白子が入っている可能性が高いです。これもまた楽しみの1つですね。
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