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2019年10月、私は初めてヘッドハンティング会社と面談をしました。結論から言うと、この面談を通して転職はしませんでしたが、貴重な経験になりました。転職を前向きに考えていたわけではありませんが、「お誘いに対する食わず嫌いは良くない」と思い、面談を受けることにしました。
今回は、私のように転職を積極的に希望していない人が、どのような流れでヘッドハンティング会社とコンタクトを取ることになり、どのような面談をするのかを共有したいと思います。
ヘッドハンティング会社との出会い
私は機械系エンジニアとして、顧客に自社製品を納め、それが正常に営業運転できるのを見届けるのが仕事です。これまでに3社のヘッドハンティング会社から連絡を受けたことがありました。3社ともメールでのアプローチでしたが、そのうち1社だけは直接携帯電話に連絡をしてきました。
その電話の内容は「とある企業があなたとの面談を希望している」というもの。「本当なのか?」という疑問は残りましたが、少なくとも私のことを知っている様子でした。このケースでは、私のスキルを明確に把握している可能性もあります。
しかし、これまでの連絡はすべてお断りしてきました。転職の希望が全くなかったわけではなく、「もし良い機会があり、現在より条件が良くなるのであれば、一考の余地はある」というスタンスでした。ただ、自分から積極的に動くほどではなかったのです。
そんな中、ある日ふと「こうした面談を断ることは、もしかするとチャンスを逃しているのではないか?」と思いました。転職する・しないに関わらず、自分の市場価値を知る機会になるのではないかと考えたのです。
ヘッドハンティング会社からの連絡と面談の決断
そんな折、ある外資系のヘッドハンティング会社から英語のメールが届きました。いつもならスルーしていたのですが、「なぜ私を知っているのか?」「何が目的なのか?」という疑問がわき、返信してみることにしました。
すると、相手は「商品展示会で名刺交換をした中に関係者がいた」とのことでした。私は仕事柄、東京ビッグサイトなどで開催される見本市に売り手側として参加することがあり、そこで多くの人と名刺交換をします。確かに、得体のしれない海外企業の人とも名刺交換することはありました。真相は不明ですが、どうやらそれが私を知るきっかけになったようです。
また、彼らが私にコンタクトを取った理由は「その業種で英語を話せる人材のニーズがあるから」でした。これは推測ですが、彼らは私の会社名と職種から当たりをつけて連絡してきたのでしょう。
ネットで調べたところ、その会社は外資系の中堅クラスで、口コミやホームページの情報を見る限り、怪しい会社ではなさそうでした。ヘッドハンティング会社にも良し悪しがあり、不利な転職に誘導されるケースもあるため、事前の調査は必須です。
最終的に私は面談を受けることを決め、その旨を返信しました。相手からはすぐにお礼のメールと、具体的な日時と場所の打診がありました。面談場所は、都内の有名ホテル併設のオフィスビル。ビルの威圧感は十分でしたが、勤務地からそう遠くなかったため、直接オフィスに伺うことにしました。
面談当日:緊張の1時間15分
面談は平日の仕事終わり、19時からでした。オフィスビルの1階でセキュリティに面談の旨を告げ、インターホンで到着を伝えると、英語で応対されました。少し緊張しましたが、案内されたのは静かで洗練された個室。完全防音で外の音が遮断され、少し息苦しく感じるほどでした。
担当者は30代後半くらいのユーゴスラビア人で、以前は中国で弁護士をしていたとのこと。本当かどうかは分かりませんが、嘘をつく必要もないでしょう。彼が強調したのは「転職エージェントとヘッドハンティング会社の違い」。
転職エージェントは短期的な関係になりやすいが、ヘッドハンティング会社は長期的な付き合いを望むとのことでした。すぐに転職を決める必要はなく、良い機会があればいつでも話を進められるよう、情報交換を続けたいというスタンスでした。
面談の内容
面談では、私の経歴や希望について詳細な質問がありました。
- 最終学歴(卒業年度)
- 大学名、専攻と研究テーマ
- これまでの職歴(得意な業務、役職)
- マネジメント経験の有無
- 現職の仕事内容
- 現状の転職希望の程度
- 希望職種、役職、年収、勤務地
- 転勤の可否
- 今後のキャリアプラン
特に「将来のプラン」の質問には戸惑いました。急に「夢を語れ」と言われても、なかなか言葉が出てきません。正直、自分の将来像を明確に持っていないことを痛感しました。
また、彼らが扱う求人の説明もありました。産業用FA(ファクトリーオートメーション)の分野で需要が高まっているとのこと。しかし、提示された企業は日本支店のある外資系企業ばかりで、私の得意分野とは少しズレていると感じました。
面談後のフォローアップ
面談後、担当者から一週間後にメールが届きました。最初の案内は面談時と同じ企業でしたが、2番目の項目に私の専門に近い企業がリストアップされていました。「ヘッドハンティング会社は私の意向をしっかり汲み取っていた」という点に驚きました。
まとめ:ヘッドハンティング会社との面談は価値がある
ヘッドハンティング会社との面談は、自分の市場価値を知る良い機会になりました。話を聞くだけなら損はなく、選択肢を増やす意味でもメリットがあると感じました。
もちろん、信用できる会社かどうかを見極めることは重要です。しかし、もし機会があるなら、一度面談を受けてみるのも悪くない選択肢かもしれません。
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本記事の要約
ヘッドハンティング会社との初面談記録(2019年10月)
1. 面談の経緯
- 転職はしなかったが、面談を受けた理由
- ヘッドハンティングの誘いを断ることで機会を逃している可能性を感じた
- 転職するかどうかに関わらず、自分の市場価値を知る機会と考えた
- これまで3社から連絡を受けたが、全て断ってきた経緯がある
- 転職の希望は無かったが、良い機会があれば一考の余地はあると考えていた
- 今回のヘッドハンティング会社との接点
- 外資系のヘッドハンティング会社から英語メールで連絡
- 過去に商品展示会で名刺交換した関係者がいたため、私を知っていた
- 英語が話せる人材のニーズがあり、候補として連絡を受けた
- 会社の評判を調査し、信用できると判断したため面談を承諾
2. 面談までの流れ
- メールのやり取り
- 面談を承諾する旨を返信
- 先方からお礼と、具体的な時間・場所の打診
- 面談場所は都内有名ホテルの併設オフィスビル
- メールの対応は丁寧で、特に悪い印象は受けなかった
- 当日の流れ
- 平日19時から面談
- 1階のセキュリティーを通過し、オフィスへ
- 受付で英語対応があり、少し緊張
- アジア系女性に個室へ案内され、お茶が出された
- 完全防音の個室でやや息苦しさを感じた
3. 面談の内容
- 担当者について
- 30代後半のユーゴスラビア人
- 中国で長く弁護士をしていたと自己紹介
- 転職エージェントとヘッドハンティング会社の違いを説明
- 転職エージェント:短期的な関係
- ヘッドハンティング会社:長期的な関係を築き、適切なタイミングで転職をサポート
- 今すぐの転職を強要するつもりはないと強調
- 私へのインタビュー
- 最終学歴(卒業年度、大学名、専攻・研究テーマ)
- 現住所(おおまかな地域)
- 職歴(職種、仕事内容、得意分野、役職)
- マネージメント経験の有無
- 現職の詳細
- 転職希望の有無と希望職種・役職・年収・勤務地
- 転勤の可否
- 将来のキャリアプラン
- 特に産業用FA分野に関する質問が多かった
- 専門的な用語での質問が多く、急募案件があると推測
- 印象に残った質問
- 「将来のプランをどう考えているか?」
- 即答できず、自分を見つめ直すきっかけになった
- 夢が無い生き方が否定されるべきではないとも思った
- 先方が扱う案件について
- 産業用FA分野へのニーズが高い
- 提示された企業は全て日本支店のある外資系企業
- しかし、自分の得意分野とは少しズレがあると感じた
4. 面談後の感想
- 面談の疲労感
- 転職経験はあるが、それに匹敵するほどの質問攻め
- 「お前の売りは何か?」「出世欲はあるか?」「10年後どうありたい?」といった質問に戸惑った
- 軽い気持ちで面談に行ったが、構えていなかった分、余計に疲れた
- 面談を通して得たもの
- 自分を見つめ直す機会になった
- ヘッドハンティングの仕組みや市場の動向を知ることができた
- 具体的なオファーの話は無く、少し拍子抜けした
- 転職市場での自分の立ち位置を知る手がかりになった
5. その後の展開
- 1週間後に担当者からメール
- 面談時に提示された企業リストが再度記載
- 新たに、私の職種に非常に近い5社が追加
- 自分の意向を正確に汲み取った提案だった
- ヘッドハンティング会社のプロ意識を感じた
- 現時点での対応
- 「情報ありがとう」と軽く返信
- 今後の動きは未定
6. まとめ
- ヘッドハンティング会社との面談はチャンスになり得る
- 自分の市場価値を知る機会になる
- 転職しなくても、情報を得るだけで選択肢が広がる
- 信用できる会社かどうかを見極めることが重要
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