今回は、干物の「湯煮」を作る際に、お湯の温度を沸騰(100℃)と沸騰前(80~90℃)で作り分けをして、美味しさに違いが出るか、食べ比べをして検証します。
差が無い様であれば、温度を気にする手間が省けるからです。
今回の検証の背景
魚の「湯煮」という料理は、一般的にお湯を沸騰させずに魚を加熱することで、その旨味を逃さない様にするのが大事とされています。以前、私も真鱈(マダラ)の切身を使って実験しており、その際、沸騰前(80~90℃)の方が美味しいという結果が得られました。沸騰させない方が、プリプリした良い食感と旨味が残ったのです。
一方、先日の記事で「湯煮」は干物でも出来る事を紹介しました。生魚と同じように沸騰直前の温度で茹でると良いと、お伝えしたのです。
しかし、この干物の湯煮の記事を書いた際に、ある読者さんから
温度を保つのが難しそうですね。
というコメントをいただきました。
なるほど。。。温度を気にしなければ美味しく頂けないのなら、確かに少しハードルが上がってしまいますね。平たく言えば、ちょっと面倒だなぁとなるのかも。。。
このコメントをいただいた時に、私はこう思いました。
- 切身など生魚の場合は、沸騰しない温度にするのが良いけど、干物では関係ないのではないか?
- もし沸騰しても味や食感に影響しない(有意差がない)のであれば、温度を守る必要が無くなるので、「湯煮」が作りやすくなる。
- 掛けなくて良い「ひと手間」であれば、省いてしまおう。
というわけで、
今回は、「沸騰(100℃)」と「沸騰前(80~90℃)」で湯煮を作り分けをして、食べ比べの検証をしたいと思います。本当に「沸騰前(80~90℃)」の方が美味しいのでしょうか?
結論
先に今回の検証結果(食べ比べした感想)をお伝えします。
- 干物であれば「沸騰(100℃)」と「沸騰前(80~90℃)」の湯煮に、ほとんど差は無い。つまり、温度はあまり気にしなくてよい。
- 味は、若干「沸騰」が塩気が抜けている様に感じるが、言われて初めて気づけるレベル。
- 食感も、若干「沸騰」が硬めに感じるが、これも一般的には気づかないレベル。
以上の様に、『干物であれば、沸騰させる/させないは、あまり気にする必要は無い』という結論に至りました。ただ干物を煮すぎるのは良くありませんので、適度に火が通れば良いと思います。火が通ったかどうかは、箸で身が簡単に剥げるかで確認できます。今回のアジの干物であれば、煮る時間は5分で十分です。
(※但し、個体差や魚種で違いがある可能性はあります。)
検証
本日の個体
- スーパーマーケットで購入したアジの開き(冷凍)
- 4尾
- 体長 21cm(全長25cm)
- 重さ 140g / 尾
経過と結果
1600ccの水を加熱したフライパンを2つ準備しました。左側は「沸騰」、右側は「沸騰前」。
「沸騰」は強火で加熱し、気泡が多く発生している状態です。
沸騰前は温度計を使って調節しました。弱~中の火加減。鍋底に小さい気泡が張り付いている。湯面からは湯気が立っている状態。
この二つのフライパンで、どちらも5分間加熱します。
「沸騰」側は気泡だけで無く、アクが多く出てきていました。また、干物が熱で反ってきました。
「沸騰前」は少し濁りながら、透明な状態を保っていました。
5分茹でた後、出来上がった湯煮がコチラです。見た目に大きな差はありません。若干、「沸騰」させたものが、縮んで見えます。
それでは食べ比べしてみましょう。
実食結果
- 「沸騰」と「沸騰前」に、ほとんど差はありません。
- 「沸騰」の方が、ほんの少しだけ塩味が薄く感じますが、大きな差ではありません。
- 「沸騰」の方が、少しだけ身が硬めに感じますが、これも有意差はありません。
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まとめ
今回は、アジの干物の湯煮を「沸騰(100℃)」と「沸騰前(80~90℃)」の温度で作り分けをして、味や食感に差があるか食べ比べを行いました。結果、干物であれば、双方に大きな差は無いという結論に至りました。ですので、
あまり湯の温度を気にし過ぎることなく「干物の湯煮」を楽しんで下さい。
柔らかい食感が好きな方、マイルドな塩味が好きな方は「湯煮」を気に入って頂けると思います。
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