今回は、その美味しさで人々を魅了する魚、イズカサゴ(オニカサゴ)を刺身としゃぶしゃぶで頂きます。胃袋と肝も美味しいので、茹でて添えます。また、イズカサゴはヒレの鋭いトゲに毒があることもよく知られています。その毒針の場所と処理方法も1例として記録を残します。
この「イズカサゴ」の呼び方には少し事情があって、一般的に混同されている様に思えます。釣りや食用として世に出て「オニカサゴ」と呼ばれている魚ですが、正式な名前(標準和名)は「イズカサゴ」です。今回扱うのは、市場に売られていた「イズカサゴ」。
【イズカサゴ】
面白いのは、この魚は殆どの場合「オニカサゴ」と呼ばれるんですねwww
これは地方名だったり、釣り人の間での通称だったり、勘違いだったりが合わさって、そうなったんじゃないかと推測します。その経緯を詳しくは存じませんが、ちょっと不思議です。今回魚市場で購入したこの魚も、売り場の表示(&領収書)は「オニカサゴ」でした。でも正式には「イズカサゴ」です。
▼イズカサゴの領収書はオニカサゴでした
人によってはオニカサゴと混同せずに「イズカサゴはイズカサゴときちんと呼びたい!」という方もいるのですが、その理由はシンプルで、実は標準和名で「オニカサゴ」という種類の魚がいるんですよ。
【オニカサゴ】
(画像引用元:オニカサゴ | 魚類 | 市場魚貝類図鑑)
似てますけど、よく見ると違いますね。魚類学上でも、以下の様に分かれています。
- イズカサゴ:フサカサゴ科フサカサゴ属
- オニカサゴ:フサカサゴ科オニカサゴ属
そして何といっても、この魚の特徴は、ヒレ等の鋭いトゲに毒を持つことです。死んでいても毒があるので、調理の際は注意が必要です。刺さると、半日くらいは激痛に苦しむ様ですね(私は経験がありません)。この毒針の処理方法も1例とはなりますが、詳しく記載します。
今回はイズカサゴ!真剣に向き合います。
イズカサゴの基本情報
標準和名:イズカサゴ
科:フサカサゴ科
生息域:房総半島から東シナ海
旬:冬
イズカサゴの豆知識
- 全長は40cm程度。
- 水深100~150mの砂泥に住む
- 卵を産む(卵生)
本日の個体
体長:27cm(全長34cm)
重さ:700g
価格:800円(1kgあたり1140円)
▼「釣り オニカサゴ」をチェック
イズカサゴ(オニカサゴ)の鋭い(毒)トゲの位置と処置
それでは毒トゲの位置と処置方法をご紹介しますが、あくまでも私の方法です。また、毒トゲの位置や大きさには個体差もある様ですので、個人の責任において注意をお願いします。
鋭い(毒)トゲの位置
毒があると推測される鋭いトゲの位置を図示します。
①背ビレ, ②第2背ビレ, ③尻ビレ, ④腹ビレ, ⑤エラ蓋の周囲
鋭いトゲが、ヒレの被覆の中に隠れている箇所が多いので注意が必要です。それぞれ、接近してみてみます。
①背ビレ
②第2背ビレ
③尻ビレ
④腹ビレ
⑤エラ蓋の周囲(見えにくいですが、多くのトゲがあります)
鋭い(毒)トゲの処置方法
トゲの先端をカットする方法も紹介されている場合もありますが、キッチンで飛び散ったものを誰かが踏んだ!なんてことになると大変ですので、ヒレを根元から切る方法が個人的には良いと思います。
道具として使うのは、私の場合以下の通り
- キッチンバサミ
- ニッパー
- 厚手の布(魚用で使用している雑巾)
- 新聞紙(養生用)
安全の為には、厚手の手袋があると良いと思います。私は、魚用に使っている雑巾を使用しています。
この様に、魚体を布等で抑えながら、ヒレを丸ごと切って行きます。
①②の背ビレ、③尻ビレ、④腹ビレとキッチンバサミでカットしていきます。
さて胸ビレですが、ここには毒トゲは無いと思うのですが、「有る」という見解もあるらしいのです。という訳で、疑わしきは罰します。切り離しましょう。
次に⑤のエラ蓋周りですね。ここもハサミで切り離します。
ここまでで使用したハサミは、国産キッチンバサミ「キッチンスパッター」を使用しています。分解洗浄ができ、メーカー修理対応も可能で大変重宝しています。
関連記事:美しい!国産キッチンバサミ『キッチンスパッター』使用感レビュー
それでも残るものは、ニッパーで切ると良いです。この時に、飛び散らないように新聞紙等で養生をすると良いですね。失わない様にご注意を。
最終的には、この様に処置できました。
刺さると危ないので、新聞紙に包んで、、、
ふんわりとビニール袋を掛けて、安全に捨てると良いですね。
おつかれ様でした。美味しいものを食べるのも、一苦労だね。
イズカサゴ(オニカサゴ)捌き方
三枚下し
後は、他の魚と同じですね。頭に取り切れないトゲが残っていると思いますので、鋭いモノには注意してください。頭を触る際、私は引き続き、雑巾を使用します。
▼「出刃包丁」をチェック
血合い骨はやや複雑な形をしているので、骨抜きで抜くのが良いでしょう。数は多くありません。
アラの下処理
イズカサゴは骨が固いので、出刃包丁とキッチンバサミを併用すると作業しやすいです。
肝と胃袋の下処理
キレイな肝と胃袋が入っていました。これも料理に使いましょう。
①胃袋はキッチンバサミで開く
②胃袋の表裏のヌメリを包丁で落とす
③胃袋を塩もみし、さらにヌメリを落とす
④肝は塩水に漬ける。胃袋は水気を拭く。
イズカサゴ(オニカサゴ)料理
胃袋と肝のボイル
肝は塩水に漬けたもの。胃袋は、細切りにしました。
これを酒を加えたお湯で3分煮たら出来上がりです。これは、水気を切っておきましょう。刺身に添えます。
刺身
刺身の柵をそぎ切りにします。
▼「刺身包丁」をチェック
イズカサゴの刺身の完成です。大葉に乗せたのは、茹でた胃袋と肝。
柔らかくて、旨みが強いんだね。美味しい。
ちなみに、刺身だけで食べるなら、皮は引いた方が良いです。もしくは湯引きするのも良いですね!皮とその下の筋が、固く感じられます。今回は、しゃぶしゃぶでも食べるので、皮は残してあります。
しゃぶしゃぶ
贅沢にイズカサゴのアラで出汁を取って、しゃぶしゃぶを頂きます。
①アラは軽く湯通しして、冷水でゴミを取り除いておく
②鍋に昆布、アラ、酒を入れて、火に掛ける
③沸騰する頃に灰汁を取り、昆布も取り出す
④お好みで顆粒出汁などで味を調える
それでは、しゃぶしゃぶして頂きましょう。
アラからの良い出汁。旨みの強い身。しゃぶしゃぶで最高だね。
あ~とっても美味しいしゃぶしゃぶでした。一緒に合わせた、胃袋と肝も臭みなんて全くなく、味が強くて良いんですよ。
ヒレ酒
最後はヒレ酒です。イズカサゴのヒレはフグと同じ様にヒレ酒にして美味しく頂けます。今回は、美しい胸ビレを使用します。とっても簡単です。
ヒレは塩でヌメリを落とし良く洗って、2~3日乾燥させます。カップ一杯の日本酒と蓋(ここではアルミホイル)を準備します。爪楊枝はアルコールを飛ばす為に使いますが、マッチやチャッカマンでも良いですね。ヒレはグリルで炙ります。
お酒は、鍋で沸騰直前まで温めます。炙り終わったヒレにお酒を注ぎ、蓋をしてお好みの時間(3~5分かな)出汁を取ってください。多少アルコールを飛ばしたい場合は、さっと火を点けると良いですね。(私は爪楊枝にコンロで火を点けています)
どうぞ、お楽しみください。
炙りの香ばしさとヒレのエキスが出ているね。おもしろい。
▼イズカサゴも含めた知名度が低いけど美味しい魚はこちらで紹介しています。いつか出会えるその日の為に💛
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まとめ
今回は、オニカサゴ、いや正確にはイズカサゴの刺身としゃぶしゃぶを頂きました。毒針があっても人々に愛される理由→それは「旨さ」です。とにかく旨みが強いんです。皮目もとても美味しいので、今回の様にしゃぶしゃぶにするのは、おすすめの食べ方の1つです。もしイズカサゴに出会うことがあれば、是非ご賞味ください。毒針にはご注意を!!!
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