今回は自宅で行った津本式の実験結果を記録に残します。
津本式の仕立方法(究極の血抜き)が家庭料理に適用できるか、種々実験をしています。津本式仕立ては、鮮度維持・長期熟成の目的で、確立された方法ですから、それが何かしら家庭で実用出来ないかについて、試行錯誤しているところです。血抜きの技術は素人ですが、素人が試すことに意味があると考えています。「素人にはムリ」「家庭料理には向かない」では面白くありません。
今回は、スーパーマーケットで購入したカマス(本カマス)に津本式の血抜き処置を施してみましたので、その結果を記録に残します。
結論(感想)
実験途中ですので、結論付けてしまうのは早計ですが、今回感じたことを箇条書きします。(状態としては、絶命後数日経過したカマスで、ウロコは残っていたものの、腹は少し柔らかくなっていました。鮮度としては、刺身でギリギリ食べられる程度と感じました。)
- 津本式を実施したが、カマスの身が水っぽくなってしまった。
- ただでさえ身の柔らかいカマス。数日の経過後、身も腹も柔らかくなっていた。この状態では、血管も脆く(もろく)なってしまっていると考えられる。
- 血管が脆くなっている為、血抜きの際に、水が身に回ってしまったのだろう。
- 以上より、スーパー鮮度のカマスに強制的な血抜きは向かないと思う。
- そもそも津本式は、この鮮度レベルで血抜きをすることを想定した方法では無いと思われる。
実施してみたことには意味があると思いますので、以下に結果を残します。
実施内容と結果
スーパーマーケットで購入したカマス3尾。
産地:長崎
体長:28cm(全長33cm)
重さ:583g(3尾)
上の2尾に津本式血抜きを施します。一番下の1尾は血抜きせず、比較用とします。
エラの状態はこの様な感じ。スーパーマーケットでパック詰めされたものにしては、良い方だと思います。
それでは高圧ノズルと圧迫ホースを使って、血抜きしていきます。
エラ蓋から動脈を切ったら、ノズルの血抜き。
その後、エラ蓋側から圧迫血抜き。
尻尾側から、血と水が抜けるのを確認。
腹を開けました。内蔵の一部です。真子が入っていました。胃の中には小魚が多く入っています。胃の中の状態は、腐りやすさに影響がある様に思えます。胃の中に内容物が多いと、腐りやすいのではないか。
血抜き後、30分間、立て掛け(液抜き)を行いました。比較の為に用意。2尾は血抜き有り、1尾は血抜き無しです。
3枚に下して比較します。腹骨は削いでいません。
比較すると、『血抜き有り』の方が、確かに血の残りが少ないです。また『血抜き有り』は、全体的に身が明るい色に見えます。
しかしながら『血抜き有り』の身には水が回っており、極端に言うとベチョベチョした感じになってしまっています。こうなってしまった場合、残念ながら、美味しいのは『血抜き無し』の方となるでしょう。
以上の様にスーパーマーケットの刺身ギリギリ鮮度のカマスでは、津本式の血抜きを実施したことで、身が水っぽくなってしまいました。脆くなった血管を介して、身に水が回った為と考えられます。
私が書いた津本式関係の記事をコチラです。参考にどうぞ。
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まとめ
今回は、スーパーマーケットで購入した刺身にギリギリできる鮮度のカマスに対して、津本式の血抜きを行ってみた結果を記録に残しました。結果、身は水っぽくなってしまいました。このことから、パック詰めレベルの鮮度となると、普段通りに、買ってすぐに調理して食べるというのが、無難な方法と言えるかもしれません。もし上手く出来るとしても相当な技術が必要と思われます。もう少し検証してみます。
ちなみにカマスは『幽庵焼き丼』で美味しく頂きました。
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