日本で一般的にシシャモと呼ばれている魚とは別に本シシャモという種類があるのをご存じでしょうか?
我々がシシャモと呼んでいて、スーパーマーケットや居酒屋などでいつも目にするものは正式名称をカラフトシシャモと言います。それに対し、本シシャモは北海道原産の日本固有種です。
本シシャモは、北海道の太平洋沿岸に生息しています。元々はこれが日本のシシャモだったのですが、北海道での漁獲量の減少から、その代替品とされたカラフトシシャモ(輸入品)が現在は主流となり、市場に出回る9割はこのカラフトシシャモです。本シシャモは大変貴重なものになりました。この本シシャモもカラフトと同じく、お腹の卵のおいしさに人気がある様です。
本シシャモの漁獲は10~11月頃で、生の状態をお目にかかれるのはこの時期しかありません。
11月16日現在、お会い出来ました、その貴重な本シシャモ!ここは神奈川県の魚市場ですので、物流の発達は素晴らしいですね。
本シシャモは新鮮なものは刺身でも頂けるそうです。握り鮨も!
今回のものは、鮮度が良いシシャモですので、刺身も試します。また、カラフトシシャモとの食べ比べもしていきます。
今回はシシャモ。真剣に向き合います!
基本情報
マメ知識(本シシャモ)
- 海で成長したシシャモは10~11月頃に産卵の為に河川を遡上する。その湾岸に集まったところを漁獲する。
- シシャモはアイヌ語のシュシュハムが由来。シュシュは柳、ハムは葉で、漢字で書くと柳葉魚となる。元々はアイヌ人が食していた魚でした。
- 言い伝えとして、大飢饉の時に神様が柳の葉に命を吹き込んだ。この葉を川に流すと泳ぎ出し魚に姿を変えた。これがシシャモと言われている。
- オスとメスの見分け方。この写真の個体はオスです。尻びれの付け根が太い。また、下腹のヒレが大きい。メスは、それぞれが細くて、小さい。
- カルシウムが多く、栄養満点!
本日の個体
先ずは本シシャモ。
お腹が膨れているメスには卵が入っています。例えば一番下はメス。
次にカラフトシシャモ(軽く干物にしたもの)。
左:本シシャモ、右:カラフトシシャモ。
価格差、お分かりになりますか。本シシャモは倍近くとなっています。高級魚です。
調理
刺身
本シシャモの刺身なんて、なかなか食べられるものではありません。
頭を落として、腹を割りました。見て下さいこの卵。真っ白です!
参考にカラフトシシャモ卵との見た目の比較もしてみました。
(とれたてのカラフトシシャモは白なのかもしれません)
いずれにしても本シシャモの卵の美しさがお分かりいただけると思います。
3枚に下した後、皮を剥がして、刺身の出来上がりです。
味を比べる為に、オスとメスを選んで捌きました。
素焼き
本シシャモとカラフトシシャモを同時に、素焼きします。
あえて塩はしませんでした。
話はそれますが、魚を焼くときはこちらのフライパン用ホイル大変便利です。
油が要らないのと、後片付けが本当に楽です(丸めて捨てるだけ)。さらに、食材がくっ付きにくく、3重に便利。
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さてさて、カラフトシシャモが焼きあがりました!
続いて、本シシャモが焼けました!
形を崩さず、上手に焼けました。さぁ、食べ比べてみます。
味の感想
- 本シシャモの刺身ですが、先ずなんと言っても香りが独特。キュウリウオ科というだけあって、一般的にはキュウリの匂いと言われます。川魚(鮎?)の様な香りというのが分かりやすいかもしれません。刺身の身は柔らかく甘い。香りと合わさって、独特の風味です。とても美味。
- オスとメスの刺身も食べ比べました。一般的には、メスは卵に栄養を取られているという理由で、身はオスの方が美味しいと言われていますが、私には有意差は感じられませんでした。メスの身も美味しいです。
- カラフトシシャモの素焼き。これは安定したいつもの味。子供の時に食べたものより美味しいと思いますが、気のせいでしょうか。ただ、内臓に苦みがあるのはご存じだと思います。これは意見が分かれる味。この苦みが好きな人は好きでしょう。
- 本シシャモの素焼き。カラフトシシャモとは全然違います。脂ののりは、カラフトシシャモの方にやや多く感じられます。本シシャモはもっとスッキリ淡泊。そして、カラフトで感じた苦みがありません。最大の特徴は卵だと思います。後から押し寄せてくる甘みが凄いです。この時間差は何???不思議。卵に人気があるというのが分かりました!この感覚は初めてです。美味しい!
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最後に
今回は、大変貴重な日本固有種、本シシャモを頂きました。お馴染みのカラフトシシャモと比較して、違う食べ物であることを実感しました。値段が高いというのは目をつぶって、是非一度は食べてください。その違いが分かっていただけると思います。強調したいのは、純白の卵の独特な美味しさ。これはクセになります。また身も淡泊で苦みもなくとても上品な味です。是非お試しを!
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