前回の記事で自宅で津本式の血抜きを行えるよう、環境を整えました。記事はコチラ⇒『津本式血抜きの道具をamazonの部品だけで自作!そして実践! 』マンションでも出来るように洗濯機の入口から分岐する方法を取りました。
今回はその実践編です。先ずは身近なスーパーマーケットがターゲットです。スーパーに売っている鮮魚の鯵(アジ)に津本式の血抜きを行うことが効果があるのかを検証します。
具体的には、2尾の鯵を購入。血抜き処理した鯵としない鯵を3日間冷蔵庫で寝かせて、その状態と味を比較してみます。
~お断り~
スーパーの鯵と言っても、その状態は様々です。今回購入した鯵は、明らかに内臓等が新鮮でした。すなわち刺身鮮度の鯵を使用して検証しています。
血抜きの技術に関しては、ポイントは抑えているつもりですが、素人であることをご了承ください。
結果と考察
先に結果をお伝えし、それについて考察します。
結果
- 血抜き有りの鯵は、背骨下の動脈の血の残りが少なかった。
- 血抜き無しの鯵は、血合い骨に沿って身の変色(劣化)が見られた。
- 血抜き無しの鯵も、3日後に刺身で食べられる状態を保った。
- 味は僅かな差。我が家の4人中3人が、血抜きした鯵が美味しいと答えた。
考察
血抜き有り無しで、大きな差が出ることを期待したのですが、正直に言って、少しの差となりました。血抜き無しの場合でも、エラと内臓をキレイに取り除き、適正に保管することに、一定の保存効果があったと考えられます。
既に絶命後に時間の経過している鯵の為、血の凝固等により、枝管の血抜きは十分でなかったかもしれません。
しかし、血抜き無しの場合は、背骨の動脈付近に劣化とみられる変色があったことは明らかで、もう少し長い期間で検証すれば、結果が変わってきた可能性はあります。
3日後、どちらもある程度の鮮度を保ち、刺身で食べることが出来ました。味の差は、僅かでした。個人的には血抜き有りの鯵の方が、旨みが濃く感じられました。(個体差の影響もあると思われます)。
感想
この検証をして初めて、津本さんの仰る「伸びる魚と伸びない魚」の意味に気付けた様に思います。この津本式の究極の血抜きの力が発揮出来るか出来ないかには、大前提として、魚(個体)の良さがあるということです。素質が無い個体に対して、いくら良い施しを行っても「伸びないものは伸びない」という事になるのでしょう。
家庭でどの様なメリットが得られるか?(鯵)
以上の内容から(釣り魚では無い前提で)ご家庭で鯵に対して津本式の血抜きを使用する場合、
長く保管する方法の1つと出来る(購入時の鮮度が良い場合)
ことが大きなメリットだと思います。
自宅での鯵の血抜き検証の様子
本日の個体
近くのスーパーマーケットで買った2匹の鯵を使用します。幸い状態の良い、新鮮な鯵でした。1尾は津本式血抜きを行います。もう1尾には行いません。
血抜き作業
エラから包丁を入れ、背骨の下の動脈を断ちます。
尻尾側の背骨を切ります。
ノズルを使用した血抜きです。尻尾側から動脈に水を入れます。
凝固したものも見えますが、血が抜けていることが分かります。
次にエラ側から動脈を圧迫します。撮影の関係で、写真ではホースの向きが悪いですが、実際は動脈に向かって行いました。
ここまで実施して、血抜き・圧迫を行った方(右側)は、体がパンパンに膨れていることが分かります。体に水が回ったという事です(血管に水が入っていることを願う)。
次にエラの状態を比べます。血抜き有りの上側が、明らかに色が抜けて、白っぽくなっているのが分かります。
エラを取り出しました。血抜きした方が、右側です。血が抜けて、白みが強くなっているのが分かります。
エラと内臓を取り、腹の中をキレイに掃除しました。バットに立て掛けて、水抜き・血抜きを行います。30分放置。血が抜けているのが掛かりますね。
保管方法(冷蔵庫で3日間寝かせる)
表面と腹の中の水分を良く拭き取り、腹にキッチンペーパーを詰めます。
キッチンペーパーで全体を包みます。
空気を抜きながらラップで包みます。乾燥させたくは無いので、しっかり包んでください。
はい。この状態で冷蔵庫で3日間寝かせます。
3日間寝かせた鯵の比較と実食
状態の比較
血抜き処理をした側の鯵には「血抜き」と記しました。
それでは、開封。外観に変化はありません。また、嫌な臭いはどちらもありません。血抜き無しの方が少し、魚の臭いが強めに感じられました。
片身を落としました。如何でしょう。
血抜き無しの方には、背骨の下に血の残りが御座います。
次に身を見てみましょう。血抜きした方はキレイです。血抜き無しには、血合い骨に沿って、少し変色があります。多少、劣化しているものと推測されます。
違う角度で見てみます。こちらの方が分かりやすいでしょうか。血抜き無しの身は、変色がありますね。
次に、血合い骨(小骨)と皮、皮を剥いだ身の3つを比較しましたが、大きな違いはありませんでした。強いていえば、皮を剥ぎにくかったのは「血抜き無し」でしたが、理由は分かりません。
血抜きの有無を実食して比較
それでは、刺身に切り分けました。写真の下側が血抜きした鯵です。
さて、どちらが美味しいでしょうか。
家族にはコンセプトは伝えずに、食べ比べてもらいます。上と下で美味しく感じるのはどっち???とだけ質問しました。
- 嫁 ⇒血抜き
- 長男⇒血抜き無し
- 次男⇒血抜き
- 私 ⇒血抜き
以上の様に、4人中3人が血抜きした方を美味しいと答えました。ちなみに上(血抜き無し)の長男がそれを選んだ理由は「味が少し濃く感じた」そうです。
正直に申し上げて、この検証方法では、味に明らかな有意差は感じられませんでした。私個人としては、血抜きした方の身が旨みが強めながら、すっきりとした味わいに感じられました。
ちなみに、以前紹介した津本さん本人が仕立てたシマアジの7日間熟成は、熟成前後で味の違いが明らかに分かりました。コチラの記事です⇒『熟成魚(7日間)を体験!津本式 楽天市場店【シマアジ】お取り寄せレビュー(口コミ)』
まとめ
今回はスーパーマーケットで購入できる鯵(アジ)を自宅で「津本式血抜き」を施し、その効果があるかを検証しました(血抜き有り無しの比較にて)。3日間寝かせた後、味については有意差は見られませんでした。血抜き無しの身には、少しの変色が見られ、劣化が進んでいる可能性があることが分かりました。
スーパーの鯵に津本式を施すメリットは「長く保管できる様になる」ことが最低限あると考えられます。
自作部品についての記事はコチラ>>>
津本式解説書についての記事はコチラ>>>
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コメント一覧 (2件)
お疲れ様でした!(>_<) まず、血抜き自体が 最新鋭の機械を用いても、凄~く大変だったと 思います。更に寝かせて、撮影しながらの処理! しかも鮮度を保って食卓に上げる。長男さんは 魚と仲良しさんだから?幾分魚の香りが強い方を 選ばれたのかも?しれませんね。おっと、お父様も 魚と仲良しさんだけど、下が肥え過ぎていた?? スミマセン!勝手なことを書いてしまいました。
石畳のん♪様
コメント有難う御座います。長く保存できて、しかも美味しく頂ける方法があるといいなぁと思い実験しています。やってみると気が付くことがあるものですね。長男の舌はいつも頼りにしています。